【旅のスピリチュアル】道迷い
レンボガン島の散歩で出会った不思議な野良犬
バリ島からさらに船を乗り継いだ先にレンボガン島というまだ土着的雰囲気を残す場所があります。
ここでの不思議体験のご紹介をしたいと思います。
方向音痴にもかかわらず地図を全く見ずに突き進む癖があり、この日もずんずん見知らぬ島の曲がりくねった田舎道を歩いていました。
案の定数分後、どちらに向かっているのか分からなくなりましたが、狭い島の中なのでそのうちに目的地に着くだろうと思っていました。
2時間ほど歩いたのですが、行けども行けども目的地に着かず流石に不安になってきました。
少々疲れてもいたので浜辺にあった流木の上に腰を下ろすことにしました。
湿気を含む潮風が孤独さをぬぐい去ることはなく。さてどうしたものかと思っていたところ、ガサっと横で音がしたので見てみると、浜辺の漁師が残していったのだろう、ところどころ穴の開いた漁師網に鼻を突っ込んでいる薄汚れた野良犬がいました。
野良犬は耳を垂れ、毛並みもよれよれで浜辺の砂を前足でほじくり砂まみれになっていました。
そんな薄汚い犬がこっちへ来ると嫌だなあと思いながら、目を合わさないよう私は反対側を向いていた。
そんな気持ちを見透かしたのか、しばらくすると犬の姿は見えなくなりました。
再び重い腰をヨイショと上げて歩き始めた。あと1時間もすれば夕暮れになってしまう。
なんとなく不安な気分で浜辺の道を歩いていたところ、先ほどの犬が前を歩いているのが見えました。
言葉も通じない異国の田舎道で、前を行く犬が頼もしく見える。道端のゴミやバリのお供え物を餌にしているらしく、ところどころで寄り道するのですが、こちらの歩みを伺いながらたまにチラッと顔をこちらに向けたりする。最初は近寄りがたい雰囲気だったのですが、愛着がわいてきました。
私が近くの売店で飲み物を購入して一休みすると、その犬も立ち止まって待っているようだった。
不思議な犬だなあ。何となく道迷いしてしまった私を先導しているような気さえしてきた。
よし、あの犬の先導に任せてみよう!面白いじゃないか!
1時間ばかり犬の後ろを歩いただろうか、道中何度も後方を歩く私の様子を確認しながら振り返り振り返り犬が歩く。
私はどこにも行かないよ。。。
ついに日も落ちて薄暗い細道を歩く。目的地の滞在予定の宿にたどり着けず不安と諦めの気持ちでいたところ、少し前方にぼんやりと明かりが見えた。明かりに吸い寄せられるように歩みを進めた。
明かりの前までくると、なんと驚いたことに目的地の宿の前にいました。
興奮気味に入り口前の宿の名が書いてある看板を食い入るように見て確認した。
その時の安堵感は何物にも代えがたいものでした。
我に返り、先導役の野良犬はどうしただろうと周囲を見まわした。ご褒美でもあげなきゃなと思った。
その辺りにいるだろうと思ってしばらく探したのですが、野良犬の姿は見当たらず煙のように消えていました。
その後、姿を現すことは二度となかった。